甲你攬牢牢

あなたにすがっていたい　だって夜中にいきなり哭き声を上げたりして…
あなたの全てと一緒に　人生の迷いを乗り越えて行きたい
あなたにすがっていたい　恥ずかしがらないでよ
世の中って　誰かにすがっていないととても乗り越えられないじゃない
あなたにすがっていたい　一緒に同じ歌を唄って
あなたの憂い　あなたの哀しみ　あなたの涙　皆済むまで一緒に背負うから

あなたにすがっていたい　もう恐れる事も涙を流す必要もないわ
過去の事は忘れて　人生ってきっと希望があるものよ　私と一緒だったら過ごして行けるでしょ


あなたにすがっていたい　恥ずかしがらないでよ
世の中って　誰かにすがっていないととても乗り越えられないじゃない
あなたにすがっていたい　一緒に同じ歌を唄って
あなたの憂い　あなたの哀しみ　あなたの涙　皆済むまで一緒に背負うから
あなたにすがっていたい　もう恐れる事も涙を流す必要もないわ
昔の事は忘れて　人生ってきっと希望があるものよ　私と一緒だったら過ごして行けるでしょ
昔の事は忘れて　人生ってきっと希望があるものよ　あなたにすがっているわ　もっともっと強く


訳　頼雅生

頭仔

こうやって過ごして来たわね　あなたと私の隠れん坊
若い頃には良く喧嘩をしたわね　今度はどこに隠れてしまうの

あなたの椅子に坐ってみるの　この椅子の主はこの世の人ではなくなるのね
初めて会った頃　裸一貫で身を起こそうとした　でも食べるのにも苦労したのよね

※
私はあなたを「頭仔」と呼んだ　あなたと私が築いたこの家庭
「頭仔」もう休みたいのね
あの空の彼方へ凧の様に糸を曳いて行ってしまうのね
あなたは私を「牽仔」と呼んだでしょ　あなたをあの彼方に手放すわけには行かない
あの天の彼方へ行く前に　「頭仔」ねぇ待って
私を置いて行かないで　独りにしないで


いつも進退を共にして　波風に曝(さら)されても過(あやま)たず
あなたと共に歩み　二人白頭の歳　親孝行できたかできないかなんて小さな事よ

※※

空の彼方に曳かれた糸　私を離さないで
もう一度呼ぶわ「頭仔」　私が「牽仔」だって忘れないで！

訳　頼雅生

訳注：
夫の最期を見送る老妻の心情を歌った曲で、「家後」の延長上にあると言って良いでしょう。DVDでは、貧しい老夫婦の姿が感涙を誘います。「頭仔」は夫を呼ぶ言葉、「牽仔」は妻を呼ぶ言葉です。正確な語源は知りませんが、字義から、「手を牽き、牽かれ」と言う姿から来た表現ではないかと思います。日本語で言えば「あんた・おまえ」や「父ちゃん・母ちゃん」と言った辺りですが、敢えて訳さずに取り入れました。

檸檬愛玉

女：あの香り　あの甘さ　幼い頃　そして青春の思い出
　　酸っぱくてヒンヤリ　忘れられない恋の味
男：ジーンとしてドキドキして　誰もが知ってる初恋の味
　　彼女を想い　彼女を夢に見て　喉に爽やか腹に沁みる　五色の風味
女：愛玉と檸檬が別々なんて　考えただけでも恋煩い
男：もし君がいなければ　心は乱れ　生きる希望も無い
女：愛は長々語り合うものじゃないわ　たった一言で良いの
男：いつも側にいたい　人も羨むカップルになりたい
女：二人の夢は叶う　もう躊躇っては駄目よ
男：いつも側にいて欲しい
女：愛玉檸檬は愛し合う二人そのもの
合：恋人達の合い言葉「檸檬愛玉」

訳　頼雅生

訳注：
檸檬愛玉(レボンオーギョー)は、愛玉と言うゼリー状の食べ物をレモン風味で仕上げた甘味で、台湾の夜店で良く見られます。通常は愛玉と呼びます（中国語でアイユーとも言います）。愛玉を絶対にレモン味にしなくてはならないと言う決まりはないのでしょうが、この曲では切っても切れない関係になっています。少々脳天気な初恋の思いを檸檬愛玉に仮託した詞です。

月落

月落ち　烏啼き涼夜に響く
河端の楓　漁り火　浅き眠り
狼煙(のろし)の如き重き雲の悽愴(せいそう)　夜半に虫籠の声

秋涼蕭瑟(しょうしつ)　風そよぎ　酔いに任せ眠りに就かん
暗き彼方より流星月に向かう　杯は月に献呈　最早強いるなかれ
酔話の楽しみを惜しみつつ　仕舞の一干し

煩わしさを厭いつつも人恋しい
雁が飛び来るまで　君を待とう
月落ち　烏啼き涼夜に響く


訳　頼雅生

訳注：
古典的な漢詩を思わせる、文芸的な一曲です。月の残照に重く垂れた雲が映る様を眺めながら、酒杯を傾けると言う趣です。 最初の2行は、有名な七言絶句「楓橋夜泊」からそのまま借りています。 漢詩としては、「霜滿天」は「霜天に満つ」と訳し、秋も深まった頃の寒々とした空の様子と解釈しますが、この歌詞では後の部分で虫が鳴いている様子も歌われていますから、もう少し早い時期が舞台です。 そこで、同部分は「涼夜に響く」としました。

電車内面

電車の中で　見かけた彼女
大きなバッグを抱えて　行く当ても無さそう
呼出音が鳴ると　おもむろに電話機を取り出して
言葉も無く涙が溢れる　人目も気にせずに

電車の中で見かけたカップル
大きなバッグを二人で抱えて行く当ても無さそう
一葉の写真の様に　甘え合う
甘い言葉を交わし合い　人無きが如し

電車は私達の別れを運ぶのね　この街で
誰にも解って貰えない気持を載せて
それは春の花の様に　冬雨の様に
秋の枯葉の様に　土に埋もれて新芽をもたらす
人生はドラマみたいなものと言うけど
主役はあなたの？私なの？

電車は私達の別れを運ぶのね　この街で
誰にも解って貰えない気持を載せて
それは春の花の様に　冬雨の様に
秋の枯葉の様に　土に埋もれて新芽をもたらす
人は人生なんてドラマみたいなものと言うけど
主役はあなたの？私なの？

電車の座席に掛けて　いつかのあの光景を思い出す
今自分が鞄を携えて　行く宛ても無く
ただもう離れたい　あの時の光景の様に
情け容赦の無い冷気　涙は乾く事なく　人々の眺めるに任せ
電車は走り行く　後戻りのできない運命を乗せて

訳　頼雅生

訳注：
DVDでは台北の地下鉄（の地上区間）が舞台になっています。台湾では、鉄道は中長距離列車が中心で、1990年代までは台北でさえ市内交通はバスとオートバイでした。地下鉄が出来て、日本の大都市の様な車内風景が見られる様になってからまだ日は浅いのですが、早くもそれが都会的感傷のモチーフになっています。

甜蜜的世界　甘やかな世界

以前の私にとって　微笑みも涙も全ての出来事は
ただ思い描くだけの　美しい想像の世界だった
あなたが現れ　あなたが私の心に入り込んだその時から
私の世界に初めて彩り(いろどり)が生まれた

恋の縁(えにし)は静かに訪れる
そして愛は二人の情熱が育む(はぐくむ)のね
美しい調べと輝きの祝福を受けて
この甘やかな二人の世界

これからは　私の夢も愛も全ての出来事は
あなたからもたらして欲しい
風に吹かれ雨に打たれても　絆は海よりも深く結ばれる
ずっとあなたの笑顔を見ていられるから

恋の縁は静かに訪れる
そして愛は二人の情熱が育むのね
美しい調べと輝きの祝福を受けて
この甘やかな二人の世界

恋の縁は静かに訪れる
そして愛は二人の情熱が育むのね
美しい調べと輝きの祝福を受けて
この甘やかな二人の世界


訳　頼雅生

訳注：
恋愛一途と言った感じの曲です。最近では、日本でも台湾でも、この様な恋愛至上主義とでも言う様な感情は珍しい様に思います。「あなたからもたらして欲しい」の部分は、原文では「人生を支配して欲しい」と言う様な感じですが、日本語でそこまで言うとド演歌の類になってしまいますので、少し表現を変えました。